株式会社等法人設立

会社のビルの画像

会社を設立するのは簡単なことです。ご自分で手続きをするなら、本を買って勉強して、24万円(株式会社設立に必要な実費)用意すれば作れます。「本を買って勉強するのは嫌だ。会社を作るのは専門家に任せたい」という方は、30万円前後(専門家への報酬+実費)程度で作れます。

結局、30万円くらいあれば会社は作れるということです。しかし、社長に覚えておいていただきたいのは、会社を作るデメリットです。

起業をするにあたり、最初に検討すべきことがあります。『会社を作るか作らないか』です。起業の方法は会社設立だけではありません。個人事業主として開業するという方法もあります。

当たり前のことですが、会社を作るメリットが会社を作らないデメリットを上回るならば、会社を作ればよいということになります。またデメリットが多いならば、個人事業主としての開業を検討すべきです。

当事務所では、原則として『会社を設立しない』ことをおススメいたします。理由は、会社を作ると、社長の負担がめちゃくちゃに増えるからです。

会社を作らず個人として起業すればいいのです。会社にすることはいつでもできます。

会社とは何か

まず、会社とは何かを考えてみましょう。

会社は、法律上『人間』として扱われる存在です。具体的には、会社は人間のように、買い物をしたり、借金をしたりできます。ちなみに、『会社の社長』は、会社に雇われている従業員ということになります(社長を選ぶのは『会社を作った人(株主)』です。自分を選んでも他人を選んでも構いません)。ですから、社長は会社から給料(役員報酬)を貰うということになります。

しかし、「会社は法律上の人間だ」と言われてもよくわかりませんね。お気持ちは理解できます。会社を人間として扱うことを理解しにくい一番の原因は、会社は、生きている私たち人間と違い、身体がないということでしょう。

当然、会社は、頭もないですから、考えたり喋ったりもできません(ちなみに、考えたり喋ったりできないという点では赤ちゃんと一緒です)。

つまり、会社とは体がなく、考えることも喋ることもできない人間だとか、会社とは体のない赤ちゃんだとか会社とは空想上の人間だと考えていただくと分かりやすいかと思います。

ところで、『会社は買い物ができる』というのはすでにご説明いたしましたが、買い物をするには考えたり喋ったりする必要があります。しかし、会社には身体がありませんから、喋るのは不可能です。そこで、会社の代わりに考えたり喋ったりする人が必要となります。その役目を担うのが、『会社を作った人(株主)』と『社長』なのです。

ちなみに、赤ちゃんの『財産管理(買い物など)』をするのは、親ですよね。会社を赤ちゃんに見立てるなら、株主や社長は会社の親ということになるかもしれません。

会社と社長は別人

ところで、会社が、他人から借りたお金を返さないことがあります。たとえば、私の作った会社『株式会社土井商事』(架空の会社です)が、『あなたからお金を500万円借りたけど返せなくなった』という状態を考えてみてください。

この事例では、登場人物が3人登場します。

  • 株式会社土井商事(会社)
  • 社長 土井誠(私)
  • あなた

あなたは、私(土井)に「500万円を返せ」と言うかもしれません。しかし、『私(土井誠)』はあなたに500万円を返す必要はありません。あなたにお金を返すべき義務があるのは『会社』なのです。

社長である私は、会社に雇われている人(会社と社長は別人)ですから、会社を辞めてしまえばそれでオシマイです。では、あなたはどうすればいいのでしょう。実はどうしようもありません。会社にお金がないのであれば、『泣き寝入りするしかない』といえます。

「理不尽だ」「会社を作った土井がなぜ責任を負わないんだ」「会社の社長として借金をすることを決めたのは土井じゃないか」とあなたは仰るかもしれません。しかし、法律が「社長は、会社の借金を返さなくてよい」としていますから、どうしようもありません。

このように、会社は身体がありませんから、非常に信用できない存在です。ですから、『色々な規制』をする必要があります。ここですべてをご紹介するのは不可能なほど、会社は様々な規制に縛られており、適法に会社を維持していくためには、非常に多くの事務作業が必要となります。普通の会社を適法に維持するためには、人件費や事務の外注費などで、年間数百万円必要だと考えていただくべきです。少しくらい節税できるという程度では割が合わないのはご理解いただけると思います。

もちろん、適法な状態を維持しない(違法状態でもいいから事務は適当にやる)というのであれば、会社を維持するための費用を低く抑えることができます。しかし、違法状態を維持する前提で会社を作る方はあまりいらっしゃらないでしょうし、違法状態ということは、それ相応のリスクを伴います。

会社を作るメリットとデメリット

ここでは、一般的に言われている会社を作るメリットとデメリットについて検討していきたいと思います。

節税になる

確かに、会社設立により、机上論では節税になる場合があります。『会社を作れば給与所得控除が使える』し、『法人税は役員報酬を多くとって利益をゼロにすれば払わなくてよい』という理屈です。

しかし、実際はそれほど甘くありません。簡単に言いますと、『原則として社長の給料は1年間変更できない』というルールがあるからです(変更を認めない理由は法人税を払わせるためです)。

もちろん、『社長の給与を変更してはいけないルール』に対抗手段がないわけではありません。どの程度会社が成長するかを予測し(利益を予測し)、初めから社長の報酬を高くしておけばよいのです。そうすれば、会社は利益がゼロになりますから、法人税を払う必要はなくなります(ただし、赤字でも払わなければならない税金もあります:法人住民税7万円以上)。また、思ったよりも業績が悪ければ、社長から会社に対して貸付を行うという処理をとることになります。

しかし、これには大きな3つの落とし穴があります。

ひとつめの落とし穴は、社長の給与を高くしすぎると、『所得税が高くなる』のは当然ですが、『社会保険料まで高くなってしまう』というものです。ちなみに、不景気が続く現在の日本企業においては、税金よりも社会保料険の方が高額である場合が多く、経営を圧迫する材料となっています。社会保険に加入しないという裏ワザが実務上とられている場合がありますが、もちろん違法です。それなりのリスク負う覚悟は必要になります。

ふたつめに、そもそも、社長の給与をいくらに設定しておくかという大問題があります。業績を予測し、多めに報酬を決めておくわけですが、いったい誰がどうやって業績を予測するのでしょうか。業績の予測に失敗すれば法人税が課されますし、かといって社長の給料を高くしすぎると、すでに述べたとおり所得税や社会保険料の負担がのしかかります。

みっつめは、法人税を払わなくて良い状態(つまり赤字)にすると、融資が受けにくくなるという問題があります。銀行が赤字の会社に融資をしたがらないというのは、ご理解いただけると思います。これからはじめて社長になるという方には分かりにくいかもしれませんが、『資金繰り(銀行からお金を借りるなどなど)』は社長の非常に大切な仕事のひとつです。

消費税を2年間払わなくてよい

個人事業主の方が会社を作ることを『法人成り(ほうじんなり)』といいます。消費税の課税事業者である個人事業主の方も、上手に法人成りをすると2年間消費税を払わなくてよいというメリットがあります。これは確かに、これだけ単体でみればメリットといえますが、やはりよく考えていただきたいところです。

会社設立により、会社が負担すべき費用(税金、社会保険料、専門家への報酬)は増加する可能性があります。仮に、その増加額が年に『たったの20万円』だったとしても、10年会社経営を続ければ合計200万円です。20年続ければ400万円です。また、会社設立には30万円近くの費用がかかります。

たった2年分の消費税だけを見て会社の設立を考えるのは、良い方法ではありません。

会社の借金を社長が返す必要はない

これは記述の通りです。。たしかに、社長は会社の借金(債務)を返す必要はありません。

ただし、やはり色々と問題があります。

まず、実務上、会社が借金をするときは、社長が必ず保証人になるということです。社長が保証人にならないのに会社にお金を貸してくれるという奇特な人などいません。保証人になれば、社長が会社の借金を返す義務が生じるのは当然です。

もちろん、もしかしたら、親戚や友人などが、社長が保証人にならなくてもお金を貸してくれるということもあるかもしれません。しかし、社長を信頼して大切なお金を貸してくれた親戚・友人に「会社が潰れたから私は知りません」なんて言えないとのが普通でしょう。また、「言える」という方もいるかもしれませんが、そのような不誠実な人は社長になるべきではありません。社長は、お客様、従業員、取引先など、たくさんの人の人生に大きな影響を与える存在なのです。

また、お客さんに損害を与えてしまった場合、お客さんに賠償すべきは会社であり、社長は責任を負わなくてよいということになっています。これも会社設立のメリットとしてあげられます。

しかし、私はこの考え方には大反対です。十分な資力がない人間が、任意保険に入らずに車を運転するようなものであり最低の行為です。万が一お客様に対して損害を及ぼしてしまったとしてもきっちりと対応ができるよう、保険に入るなどの措置を講じておくべきであって、会社を盾にして逃げるなどという方法を考えるべきではありません。また、会社を盾にして逃げようなどと考えていると、思わぬしっぺ返しを受けます(法律は誠実でない人に対して優しくはありません)し、お客様から愛される会社を作ることはできません。

会社にすると信用が高まる

私は、株式会社だから信用できるとか、個人事業主だから信用できないなどと考えて、お店を選ぶことはありません。しかし、実務上は会社組織にした方がお客さんから信頼を得やすい業種というのもあるでしょう。また、取引先企業が「会社としか取引をしない」という場合もあります。

会社でないとできない仕事をする

たとえば、介護事業は、個人ですることができません。介護事業所を開設するには、会社を作る必要があります。このような場合は、デメリットがあるとはいえ、会社にせざるを得ません。

会社がいいか、個人がいいか

会社を作った方がよいか、それとも個人事業主の方がよいか。結局はケースバイケースです。具体的にどの程度の節税効果があるかや、社会保険料等の見込み、会社の業績予測、会社の設立と維持に必要な費用、会社にすることにより得られる信頼の増加(取引先、客数の増加)など、総合的に判断する必要があります。

そして、この判断をもっとも的確にできるのは、経営のプロである社長自身です。税理士、社労士などの各種専門家の意見を参考にしつつ、最終的な責任はすべて社長が持つという覚悟で、社長自身がどうするのかの最終決定をすべきです。社長は会社の中で大きな権限を持っていますが、権限があるということは、それに相当する責任も負うということです。仮に、決断し責任を負うことができない社長が会社を設立しても、すぐに倒産してしまうのがオチです。

社長が、メリットとデメリットを正確に把握した上で、社長自身の責任の下に会社設立を決定されたのであれば、間違いはないでしょうし、万が一失敗しても、全力で努力をしたのですからあきらめもつきます。

会社を作るべきか作らないべきか、ぜひ慎重に検討していただきたいと思います。

当事務所では、信頼できる税理士、社会保険労務士と共に、会社を作るか個人事業主として起業すべきかの検討の段階から、社長をサポートさせていただいております。 まずは、お気軽にお問い合わせください。

当事務所でお手伝いできること

このホームページでは、会社を作るデメリットばかりをお話してきました。しかし、会社を作ってメリットがある場合がありえるのも事実です。

当事務所では、税理士、社会保険労務士と共に、会社設立によるメリットとデメリットの診断をし、どうすればメリットをより多く享受できるかについての提案をさせていただいております。

次のような手続きが必要な際は、ぜひ当事務所にお任せ下さい。

  • 株式会社設立に関すること
  • 合同会社設立に関すること
  • NPO法人設立に関すること
  • 医療法人設立に関すること
  • 上記以外の法人設立に関すること
  • 電子定款認証に関すること
  • 個人事業主としての起業に関すること

会社を作ったその後は

法人形態で起業するにしろ、個人事業主として起業するにしろ、開業前に様々な手続きが必要となります。

当事務所では、各種専門家と提携しながら、開業後のサポートもさせていただいております。

報酬額表

業務名 報酬料金 備考
相談料(60分) 個人 3,000円
企業 5,000円
  • すべてのご相談につき、初回相談(30分以内、電話相談含む)無料です。
株式会社設立 100,000円
合同会社設立(LLC) 100,000円
有限責任事業組合(LLP) 100,000円
NPO法人設立 200,000円
医療法人設立 500,000円
社団法人・財団法人設立 150,000円
電子定款認証代行 18,000円

※ その他、報酬についてはこちらをご確認ください。

2015年1月1日

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